
銀行で定期預金に預金を預けたいと考えている方の場合は「高金利の定期預金に預けたい。」とほとんどの方が思うはずです。では、どんな銀行の定期預金が高金利なのか?どのような時に銀行は定期預金金利を上げるのでしょうか?今回は、高金利の定期預金の見つけ方について解説します。
目次
銀行の定期預金金利の決まり方とは?

銀行のビジネスモデル

銀行のビジネスモデルは、いたってシンプルで
- 低い金利で資金を調達する(日銀からの貸付、他の銀行からの借入、預金)
- 高い金利で資金を貸付ける(カードローン、住宅ローン、企業への融資)
- いかに安くお金を調達できるか?
- いかに高くお金を貸し付けられるか?
が銀行の収益を最大化する大きなポイントとなります。
しかし、
- 預金金利を下げれば下げるほど、収益性は上がりますが、誰も貸してくれなくなります。
- 貸付金利を上げられば上げるほど、収益性は上がりますが、誰も借りてくれなくなります。
結局は、競合他社との兼ね合いと預金者や債務者、市場動向によって
というのが現状なのです。
その中でも、大きな役割を担うのは「政策金利(無担保コールレート)」です。
無担保コールレートとは?

銀行は、預金者などから調達した資金を企業や個人に貸すことで収益を上げています。
- 住宅ローンの申込が予想よりも増えたら、資金が足りなくなる
- 預金の引き出しが予想よりも増えたら、資金が足りなくなる
- 預金が予想よりも増えたら、資金が余ってしまう
- ローンの完済が予想よりも増えたら、資金が余ってしまう
・・・
というようなことが日常茶飯事に発生するので、銀行も、予想できずに資金が不足したり、余ったりを繰り返すのです。
資金が不足している銀行は

資金が余っている銀行は

と考えるため、一日だけお金を融通し合う市場「インターバンク市場」というものが成立するのです。

銀行のビジネスモデルは前述した通りで
「低金利」で資金を調達して、「高金利」で資金を貸し付けることが収益の最大化につながります。
「無担保コールレート」 < 「預金金利」
だとすれば、全額「インターバンク市場」で調達した方が収益が増えるのです。
「無担保コールレート」 > 「預金金利」
こうしておかなければ、銀行は資金を「預金」で集める必要性が薄まってしまうのです。

政府・日銀が決めます。
日銀は、金融政策決定会合で「無担保コールレートを何%に誘導するのか?」を決定します。
- 好景気 → 無担保コールレートを高く設定することで、市中の通貨量を減らして、インフレが過熱するのを抑制する
- 不景気 → 無担保コールレートを低く設定することで、市中の通貨量を増やして、物価を上昇させる
ことで景気をコントロールします。
日銀は、政府の意向を反映しながら、景気のコントロールに「無担保コールレート」を使用しているのです。そのため、無担保コールレートは「政策金利」と呼ばれます。
ただし、日銀が
「無担保コールレートは○○%です。」
と決めるわけではなく、
誘導目標に応じて、日銀は民間銀行が持っている国債を買い取ること(買いオペレーション)で金利操作をします。
2018年11月時点の無担保コールレートは
-0.07%
です。

前述した通りで、基本的には
「無担保コールレート」 > 「預金金利」
でなければ、銀行はインターバンク市場で資金を調達する方が調達コストが下がります。
しかしながら、預金の方が
- 預金者がATMを使って、ATM手数料の収入が発生する
- 預金者が他行に振り込んで、振込手数料の収入が発生する
- 預金者が住宅ローンやカードローンなどのローンサービスを利用してくれる可能性もある
- 預金者が保険を利用してくれる可能性もある
- 預金者が投資信託を利用してくれる可能性もある
・・・
純粋な貸し借りに終わってしまうインターバンク市場での資金調達よりも、収益になる可能性があるのです。
そのため、銀行は預金金利(定期預金金利)を決定する際に
「無担保コールレート」を基準としながらも
- 他行の金利
- そのほかのサービスへの展開
- 他の預金との兼ね合い
- 銀行の経営戦略
- 広告宣伝・顧客獲得効果
を考慮した上で、金利を設定することになるのです。
定期預金は、普通預金よりも安定的に資金を調達できる預金ですので、上記を考慮しながら、普通預金金利が決まり、定期預金金利も決まってくるということになります。
「預金」には銀行の営業的な要素も多分に含まれているため、「無担保コールレート」を基準としながらも、他行の状況や顧客の状況、銀行の今後の経営戦略に即して、決定されるものなのです。
高金利の定期預金の見つけ方

その1.基本的にネット銀行の方が定期預金金利は高金利になる!
メガバンクとネット銀行を比較すると、大抵の場合はネット銀行の方が定期預金金利が高金利に設定されます。
なぜならば・・・
銀行の運営コストが安いからです。
メガバンクの場合は
主要な駅前には必ず支店があります。
支店ごとに何十名も店員がいて
ATMなどの機械もあって
懇切丁寧に対応してくれるのですから
- 人件費
- 地代家賃
- 光熱費
- パンフレットなどの印刷コスト
- ATMの設置コスト
が発生します。
ネット銀行の場合は
基本的には本社機能のみで営業が可能です。
支店がない分
- 人件費
- 地代家賃
- 光熱費
- パンフレットなどの印刷コスト
- ATMの設置コスト
が不要になるのです。
ネット銀行は店舗を持たない分、銀行の運営コストが格段に安上がりになり、その分、定期預金の金利を高く設定できるのです。
また、店舗がない分、魅力的な金利設定にしないと顧客を呼び込めないため、定期預金を高金利に設定するネット銀行が多いのです。
その2.マイナーなネット銀行の方が高金利になる!
前述した通りで、「預金金利」というのは営業・広告宣伝の役割を持ちます。
知名度が低い銀行であればあるほど、「預金金利」を魅力的に設定しなければ、顧客獲得が難しいのです。
2018年12月時点の定期預金金利を高金利順に見ると
- 東京スター銀行/銀行口座:スターワン円定期預金プラス:0.250%
- 新生銀行/銀行口座:パワーダイレクト円定期預金:0.250%
- あおぞら銀行/インターネット支店/銀行口座:あおぞらネット定期預金:0.250%
- SBJ銀行/銀行口座:定期預金<ミリオくん2>:0.250%
が年率0.25%で並んでいます。

あおぞら銀行はSBJ銀行は知らない方も多いと思います。
また、新しく銀行が立ち上がった時なども、知名度が低く、顧客獲得を優先しなければなりません。この場合にも、有利な金利設定をすることが多いのです。
GMOあおぞらネット銀行の場合
2018年10月の事業開始キャンペーン時には
- 通常の定期預金金利:0.020%
- キャンペーン対象の定期預金金利:0.200%
と10倍の金利が設定されているのです。
その3.グループ会社が多いネット銀行は、定期預金が高金利になる!
- イオングループの「イオン銀行」
- 楽天グループの「楽天銀行」
- SBIグループの「SBIネット銀行」
- GMOグループの「GMOあおぞらネット銀行」
・・・
なぜならば・・・
です。
例えば、イオン銀行であれば
イオン銀行のクレジットカード「イオンカードセレクト」を作ると、普通預金金利が高金利になるプログラムがあります。
これはイオン銀行のクレジットカード「イオンカードセレクト」を持ってくれれば
- 買い物をしてくれたら、クレジットカードの加盟店手数料が入る
- イオンの店舗で買い物をしてくれたら、イオンの売り上げになる
- WAONが貯まるのでイオンで買い物をする可能性が高まる
というメリットがあるのです。
少々、預金金利を上げて収益性が下がったとしても、別のグループ会社の売り上げで十分にカバーできると考えるのです。
そのほか、証券会社がグループ会社にある銀行の場合は、証券口座も合わせて開設すると金利が高くなるプログラムも用意しています。
- 楽天銀行 → 楽天証券の口座
- 住信SBIネット銀行 → SBI証券の口座
- GMOあおぞらネット銀行の場合 → GMOクリック証券の口座
などがあります。
その4.ボーナス時期は、預金キャンペーンがある!
ボーナス時期こそ、個人の方の余剰資金が増えるので「定期預金の高金利キャンペーン」を行って、メインバンクを変更してもらいながら、預金残高を増やそうとする銀行が増えます。
- 夏のボーナス(6月)
- 冬のボーナス(12月)
- 退職金限定キャンペーン
などがあり、この時期に定期預金に入れば、いつもよりも高金利に定期預金を利用することができるのです。
その5.毎月定期預金金利をチェックする!
定期預金金利は銀行の経営戦略に密接に関係しています。
- 株主に対して定期預金口座の伸びを示したい → 定期預金を高金利にする
- 販売する投資信託や保険が伸び悩んでいる → 定期預金を高金利にする
- ライバル銀行から顧客を奪い取りたい → 定期預金を高金利にする
- ライバル銀行が有利な定期預金金利を設定して顧客が奪われている → 定期預金を高金利にする
- 新商品を広告宣伝するための道具にしたい → 定期預金を高金利にする
・・・
色々な複合的な要素を総合的に判断して定期預金金利は設定されます。
銀行の経営の内部のことはわかりませんから、いつ、どこで、どの銀行が「定期預金を高金利にするのか?」は、予想することができないものです。

ということも少なくありません。
だとすれば、一番高金利の定期預金を見つけるためには、常に銀行の定期預金金利をウォッチしておく必要があります。
毎月1日、もしくは第一営業日に金利を変更する銀行がほとんどですので、月一回、少なくとも3カ月に1回ぐらいは、最新の定期預金金利をチェックしておくべきだと言えます。
とくに定期預金の高金利キャンペーンは、1カ月程度で終わってしまうものも多いので、見逃さないようにチェックが必要です。
まとめ
定期預金金利の決まり方は
「無担保コールレート」を基準としながらも
- 他行の金利
- そのほかのサービスへの展開
- 他の預金との兼ね合い
- 銀行の経営戦略
- 広告宣伝・顧客獲得効果
を考慮した上で、総合的な判断で、金利が決定されます。
高金利の定期預金の見つけ方は
- その1.基本的にネット銀行の方が定期預金金利は高金利になる!
- その2.マイナーなネット銀行の方が高金利になる!
- その3.グループ会社が多いネット銀行は、定期預金が高金利になる!
- その4.ボーナス時期は、預金キャンペーンがある!
- その5.毎月定期預金金利をチェックする!
というものがあります。

とくに重要なのは「毎月定期預金金利をチェックする!」です。
定期預金金利は、経営戦略に密接に結びつく広告宣伝の道具でもあるのです。競合の銀行の金利設定との兼ね合い、経営戦略との兼ね合いで金利は毎月、変動します。また、キャンペーンも、一つの銀行で年に3回~4回は行われているものです。
一番高金利の定期預金を見逃さないためには、毎月1回ぐらいは定期預金をチェックしておく必要があるのです。
「高金利の定期預金を知りたいんだけど・・・」