
定期預金を提供している銀行は、夏や冬のボーナス時期や、銀行側が資金を増やしたいときにこぞってキャンペーンを展開しています。しかし、この定期預金キャンペーンですが、キャンペーン金利の見方を間違えると、大きく損をしてしまうことになります。今回は、「定期預金キャンペーン金利の罠」について解説します。
目次
定期預金キャンペーンの種類

現金プレゼント型キャンペーン
を言います。
例
ジャパンネット銀行/金利最大1.0%相当の現金プレゼント

キャンペーン期間
- 2018年11月20日~12月28日
キャンペーン概要
キャンペーン期間内に新規で口座開設して、3カ月ものの定期預金に預金をすると預金額に応じて「金利最大1.0%相当の現金をプレゼントするキャンペーンです。
- 預金額:10万円以上30万円未満 → 250円
- 預金額:30万円以上100万円未満 → 750円
- 預金額:100万円以上 → 2,500円
特別金利型キャンペーン
を言います。
例
住信SBIネット銀行/特別金利キャンペーン

キャンペーン期間
- 2018年12月10日~2019年3月3日
キャンペーン概要
6カ月もの円定期預金、1年もの円定期預金の金利が通常よりもアップします。
「6カ月もの円定期預金」金利
- 通常の金利:年率0.20%
- キャンペーンの特別金利:年率0.30%
「1年もの円定期預金」金利
- 通常の金利:年率0.20%
- キャンペーンの特別金利:年率0.20%
じぶん銀行/冬の特別金利キャンペーン

キャンペーン期間
- 2018年12月5日~2019年1月31日
キャンペーン概要
1年もの円定期預金の金利が通常よりも4倍にアップします。
「1年もの円定期預金」金利
- 通常の金利:年率0.05%
- キャンペーンの特別金利:年率0.20%
初回限定特別金利型キャンペーン
を言います。
例
三井住友銀行/円定期預金新規お預け入れキャンペーン

キャンペーン期間
- 2014年11月4日~2014年12月30日
キャンペーン概要
新たに三井住友銀行の定期預金に預金された金額に対して、2カ月は0.9%の金利を適用します。
他の金融商品連動型キャンペーン
を言います。
例
GMOあおぞらネット銀行/事業開始キャンペーン

キャンペーン期間
- 2018年8月3日~2018年12月31日
キャンペーン概要
上記キャンペーン期間内に証券コネクト口座を開設完了すると優遇金利が適用されます。証券コネクト口座の開設完了には、当社普通預金口座開設完了及び初期設定の完了、証券コネクト口座の申し込み、GMOクリック証券口座の開設完了、GMOクリック証券管理画面での設定完了が必要となります。
- 普通預金金利:年率0.001%
- 証券コネクト口座金利:年率0.15%
複合型キャンペーン
を言います。
例
静岡銀行/しずぎんインターネット支店/ウルトラ金利

キャンペーン期間
- 2018年12月7日~2019年2月28日
キャンペーン概要
6カ月もの円定期預金、1年もの円定期預金の金利が通常よりもアップします。
「6カ月もの円定期預金」金利
- 通常の金利:年率0.11%
- キャンペーンの特別金利:年率0.22%
「1年もの円定期預金」金利
- 通常の金利:年率0.11%
- キャンペーンの特別金利:年率0.26%
さらにウルトラ金利で定期預金をお預け入れいただいた方は、所定のお取引で現金最大1,500円をプレゼント
対象のお取引 | プレゼント |
---|---|
①しずぎんラップ(MSV LIFE)口座開設 | 500円 |
②投信口座開設 | 500円 |
③積立投信月5,000円以上の新規契約 | 500円 |
定期預金キャンペーン金利の罠

その1.預入期間が短い定期預金キャンペーン金利に注意!
銀行が提供している定期預金キャンペーンの特別金利は、総じて
- 1カ月もの定期預金
- 3カ月もの定期預金
- 6カ月もの定期預金
などの短期間の定期預金の金利を特別金利に設定していることが多いのです。
1カ月もの定期預金のキャンペーン金利がどれだけ高金利
であったとしても、
2カ月目からは、通常の定期預金金利に金利が元に戻ってしまいます。
例えば
A銀行(定期預金キャンペーン実施中)
- 通常の5年もの定期預金金利:年率0.05%
- キャンペーンの1カ月もの定期預金金利:年率0.3%
B銀行(定期預金キャンペーンなし)
- 通常の5年もの定期預金金利:年率0.10%
- キャンペーンなし
という場合に500万円を預金したら
A銀行(定期預金キャンペーン実施中)
- 1カ月後の満期時の預金残高:5,001,016円
- 5年1カ月後の満期時の預金残高:5,010,985円
残高増加分:10,985円
B銀行(定期預金キャンペーンなし)
- 5年後の満期時の預金残高:5,019,933円
残高増加分:19,933円
つまり、「冬の特別金利キャンペーン、1カ月もの年率0.3%の高金利」とキャンペーン金利を適用しているA銀行よりも、通常の定期預金金利が高金利のB銀行に預金していた方が、約2倍の利息が受け取れる計算になります。
ことになるのです。
ということを意味します。


その通りです。
キャンペーン金利の預入期間が終わったら、より高金利の定期預金を探して、資金を動かせば一番利益を得ることができます。
前述した例であれば
A銀行(定期預金キャンペーン実施中) → 1カ月後にB銀行(定期預金キャンペーンなし)
- 1カ月後の満期時の預金残高:5,001,016円
- 5年1カ月後の満期時の預金残高:5,020,953円
残高増加分:20,953円
となるのです。
しかしながら、「口座開設をする」「資金を移動させる」「キャッシュカードが増える」「解約をしなければならない」・・・いろいろな手間が発生するため、多くの方は頻繁に定期預金口座を移す行動をしないのです。
そのまま、放置してしまうケースが多く、いつの間にか

ということになりやすいのです。
この状態を回避するためには
その2.現金プレゼント額も含めた金利表記に注意!
これは過去のじぶん銀行のキャンペーンですが・・・

デカデカと「年率1.0%」と記載されています。
2019年の執筆時点では、普通預金金利が年率0.001%ですから、「年率1.0%」は非常に魅力的な金利なのですが・・・
これは「年率1.0%」の定期預金があることを言っているわけではありません。
- 3カ月もの定期預金金利:年率0.15%
- 現金プレゼント:年率0.85%(3カ月分)
合計:年率1.0%
という意味で表記されているのです。
広告宣伝のテクニックと言ってしまえば、それまでですが
キャンペーンにデカデカと書いてある年率表記の金利は「何カ月適用されるのか?」まで確認しないと、いくら高金利でもお得とは言えないのです。
その3.証券口座やクレジットカードは別のコストが発生する!
最近では、ネット銀行を中心に
ネット銀行のグループ会社の証券会社の口座を開設すると → 高金利
- 楽天銀行:マネーブリッジ(楽天証券)
- GMOあおぞらネット銀行:証券コネクト口座(GMOクリック証券)
- 住信SBIネット銀行:SBIハイブリッド預金(SBI証券)
ネット銀行のグループ会社のクレジットカードを発行すると → 高金利
- イオン銀行:イオンカードセレクト(イオンカード)
- 楽天銀行:楽天カード(楽天カード)
というようなキャンペーンが多く提供されています。
これは定期預金口座だけでなく、普通預金口座でも、金利が優遇されるお得なキャンペーンと言っていいでしょう。
しかし、注意しなければならないのは、無駄なコストが発生する可能性があるということです。

「せっかく、証券口座作ったんだから、投資信託でもやってみようかな?」
「せっかく、クレジットカードを作ったんだから、このカードを使ってみようかな?」
「せっかく、クレジットカードを作ったんだから、このカードでキャッシングしてみようかな?」
と、持ってしまったら、使いたくなってしまうのが人の心理というものです。
株や投資信託をすれば
- 定期預金と違って元本保証の金融商品ではないため、損失が出る可能性がある
- 売買手数料が発生する
リスクがあります。
クレジットカードを利用すれば
- 年会費が発生する
- リボ払い手数料が発生する
- キャッシング手数料が発生する
- 借金が増える
- 預金がないのに使いすぎる
リスクがあります。
これは預金の利息を一瞬にしてゼロにしてしまうレベルの損失・コストとなります。
たかだか、年率0.1%前後の金利優遇のために
- 割高な手数料を支払ったり
- 大きな損失を被ったり
- 借金をしたり
したのでは、元も子もありません。


その通りです。
作っても、使わなければ、コストは発生しません(一部、クレジットカードの場合年会費が発生する可能性がある)から、金利優遇のメリットだけを享受できます。
ポイントは「作ったのに使わないでいられるかどうか?」にかかってきます。
人間の心理的な問題で、手間をかけて証券口座を開設したり、クレジットカードを発行してしまうと、どこかのタイミングで使ってしまう可能性が出てくるのです。
意思が弱い方は、証券連動口座、カード連動口座は、避けた方が無駄なコストを発生させずに済むのです。
その4.外貨預金・仕組み預金キャンペーンに注意!
定期預金キャンペーンに混じって
- 外貨定期預金キャンペーン
- 仕組み預金キャンペーン
なども、同時に展開する銀行があります。
- 円定期預金
と
- 外貨定期預金
- 仕組み預金
は、全くの別物です。
外貨定期預金には
- 元本保証ではない
- ペイオフ対象外
- 為替手数料の発生
- 為替損失の発生リスクあり
というデメリットがあり
仕組み預金には
- 元本保証ではない
- 途中解約ができない
- 預入期間を決めるのは銀行
というデメリットがあるのです。
わかりやすく言えば

定期預金に1,000万円預金しようとしていたら、金利が何倍も高い外貨定期預金のキャンペーンを見て、そちらに預金しました。
為替手数料でいきなり10万円差し引かれ
円高になったため、970万円に残高が減り
出金するときにも、為替手数料が差し引かれ
1年後には960万円になってしまった。
ということが起こりうるのです。
また、最近では「仕組み預金」のことを「新型定期預金」というようにわかりにくい名称を付ける銀行もあるので、より注意が必要です。
まとめ
定期預金キャンペーンの種類には
- 現金プレゼント型キャンペーン
- 特別金利型キャンペーン
- 初回限定特別金利型キャンペーン
- 他の金融商品連動型キャンペーン
- 複合型キャンペーン
というものがあります。
定期預金キャンペーン金利には
- その1.預入期間が短い定期預金キャンペーン金利に注意!
- その2.現金プレゼント額も含めた金利表記に注意!
- その3.証券口座やクレジットカードは別のコストが発生する!
- その4.外貨預金・仕組み預金キャンペーンに注意!
という注意すべきポイントがあります。
